株式会社北川鉄工所

経営管理本部 総務部 総務課

株式会社北川鉄工所(社長:岡野帝男)は、大成建設株式会社(社長:相川善郎)、ジオスター株式会社(社長:堀田 穣)と共同で、コンクリートの練混ぜ時にCO₂を直接噴霧し、コンクリート内部に固定させる技術「T-Carbon Mixing」※1を用いて、コンクリートへのCO₂固定を可能とする製造設備を開発しました。

このたび、同設備をジオスター株式会社の金谷工場にあるコンクリート製造プラントに実装しました(写真1参照)。国内企業が、実際のコンクリート製造プラントにガス状のCO₂を直接供給して固定化する設備を導入するのは国内初の試みであり、2026年9月から、CO₂を固定したコンクリートのプレキャスト製品の社会実装に向けた取り組みを開始しました。

これまで地球温暖化の原因となる大気中のCO₂濃度の上昇を抑えるため、製造や施工などさまざまな分野でCO₂排出量の削減が求められています。建設分野では、コンクリートの材料製造時に多くのCO₂が排出されることから、使用材料の多様化に加え、コンクリートそのものにCO₂を固定する技術の開発・実用化が進められています。

しかし、CO₂のコンクリートへの固定化については、CO₂が弱酸性のため、アルカリ性であるコンクリート内部で中和反応が生じてしまい、その結果、鉄筋等に腐食を招く恐れがあるため、これまで鉄筋コンクリート構造物への適用には課題がありました。

また、CO₂を効率的に固定するためには、コンクリートの練混ぜ状態に合わせてCO₂の供給位置や供給量を適切に制御するとともに、ミキサからのCO₂漏出を抑える必要があります。

これらの課題を解決するため、コンクリート材料の10~30%を先行して練混ぜながらCO₂をコンクリートに直接噴霧し、CO₂が固定されたセメント硬化体を形成後、残りの70~90%の材料を加えて、CO₂を噴霧しない状態で練り混ぜることで、アルカリ性を保持させながらCO₂をコンクリート内部に固定する技術「T-Carbon Mixing」が2023年に開発されています。

今回、3社の共同開発により、実際のコンクリート製造プラントで本技術を適用できるよう、CO₂を効率的かつ安定的に直接噴霧する製造設備を開発し、ジオスター金谷工場の製造プラントに導入しました。これにより、コンクリート製品の製造工程でCO₂をコンクリート内部に固定させる技術の実用化に向け、プレキャストコンクリート製品としての製作性や構造性能、場所打ちコンクリートへの適用性などの検証を開始しました。

「T-Carbon Mixing」により製造されるCO₂を固定したコンクリートおよび新規開発したCO₂固定設備の特長は以下のとおりです。

【CO₂を固定したコンクリートの特長】

(1)コンクリート1m3あたり約10kgのCO₂を固定

「T-Carbon Mixing」で製造したコンクリートでは、コンクリート1m³当たり約10kg相当のCO₂を固定できます。従来のコンクリートの製造工程にCO₂固定化の機能を組み込むことで、建設資材の製造段階からCO₂排出量の削減ができる上に、製造量によっては大幅なCO₂排出削減量が見込めます。

(2)通常のコンクリートと同程度の性能を確保

「T-Carbon Mixing」で製造したフレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートについて、同一強度レベルの通常のコンクリートと同程度の物性および耐久性が得られています。また、本技術は場所打ちコンクリートへの適用も期待されます。

【CO2固定設備の特長】

(1)CO₂を効率的に供給する伸縮ダクト機構を装備

練混ぜ工程や材料の動きに合わせてCO₂の供給位置を調整できる伸縮ダクト機構を開発し、ミキサ内部へ効率的なCO₂供給を可能にしています。(写真2参照)

(2)CO₂供給量の制御と安定供給

CO₂の固定化速度に応じて供給量を制御する機能と、ミキサを密閉する機構を備えており、必要な量のCO₂を安定的かつ安全に供給できます。

(3)通常のコンクリート製造との切り替え運転可能

同一の設備で、通常のコンクリート製造と「T-Carbon Mixing」によるCO₂を固定したコンクリートの製造を切り替えて運転できます。製造する製品や工事の条件に応じて、柔軟に運用できます。

(4)既設プラントに導入可能

製造ミキサ「ZCROSS※2」搭載のコンクリートプラントで、設置スペースの条件を満たせば、既設プラントの一部を改造することで本設備を導入できます。新たに大規模な製造設備を建設することなく、既存の生産基盤を活用したCO₂を固定したコンクリートの製造が可能となります。

本設備を用いて「T-Carbon Mixing」で製造するCO₂固定コンクリートは、通常のコンクリートが使用される構造物であれば代替使用が可能であり、また、大成建設では同社が開発した環境配慮コンクリート(T-eConcrete®)への適用も視野に検討を進めています。

今後3社は、CO₂の供給制御や設備を運用し、プレキャストコンクリート製品の適用拡大を進めます。また併せて、場所打ちコンクリート部材への適用可能性なども検証することにより、建設分野のCO₂排出量のさらなる削減を目指します。

写真-1 「T-Carbon Mixing」を適用できるCO₂固定設備を導入したジオスター金谷工場プラントの状況

写真-2 ミキサにCO₂を供給する伸縮ダクト機構

※1  T-Carbon Mixing®:

コンクリート材料(水、結合材、細骨材など)の一部(10%~30%)を先行して練り混ぜながらCO₂を直接噴霧し、CO₂が固定化されたセメント硬化体を形成した後、残り(70%~90%)コンクリート材料を加えて練り混ぜることでCO₂を固定したコンクリートを製造する技術(図1参照)。コンクリート1m3当たり約10kgのCO₂が固定される。

T-Carbon Mixingによるコンクリートの製造工程

 

※2  ZCROSS®(ジクロス):

シャフトを持たない螺旋アーム構造の二軸ミキサで、材料の流動を妨げるシャフトや

アームをなくすことで、材料の分散性を高め、効率的に混練できる。

 

※3  環境配慮コンクリート(T-eConcrete®):

 コンクリート材料の見直しでセメント製造に由来するCO₂排出量を大幅に削減し、

従来のコンクリートと同様の製造・施工方法で同等以上の性能を確保するとともに、

高炉スラグ等の大量使用により資源の有効活用にも貢献する環境配慮コンクリート。

 

【お問合せ先】株式会社北川鉄工所 サンテック プラント統括部 営業部 営業管理課

      tel.(0847)40-0515