Interview with a Top Runner

03 Kanaru Kuramoto

Part of the Career Path

  • 入社
  • 新卒 2005年
  • 2005年 産業機械事業部 技術部 電装課
  • 2017年 産業事業部 技術部 開発課
  • 2018年 サンテックカンパニー EG統括部 技術部 EG電装課
キタガワ サンテック カンパニー EG統括部 技術部 EG電装課 係長
係長 倉本 奏Kanaru Kuramoto

社会に貢献するものづくりは
チームと成長できる豊かな土壌

倉本さんに案内されたのは、本社から車で5分の所にある本山工場だ。
そこには建設業界で高いシェアを誇るクライミングクレーン「ビルマン」が地上から天高くそびえ立つ。
ここで倉本さんは、電装課が開発を進めるクレーン自動運転システムの検証を行っている。

興奮する取材陣に、倉本さんは地上の運転席からビルマンを動かして見せてくれた。
人を喜ばせることが好きで、どんな質問にも丁寧に答えてくれる。
仕事でも今を楽しもうとしている。そんな印象を受けた。

「私は電装のエンジニアとして、そしてチームリーダーとしての目標があるんです。」
倉本さんはそう目を輝かせ、社内の様子を交えながら目標を語ってくれた。

会社と自分自身への期待
環境よりも捉え方次第でいくらでも成長できる

大学では工学部・電子工学コースに通い、研究室では酸化チタンを使った半導体の色素増感太陽電池を開発していました。

それもあって、Kitagawaに入社して金属素形材事業部(現・キタガワマテリアルテクノロジー)で素材の研究をやりたいと思っていたんです。
しかし、入社後の配属先は、産業機械事業部(現・キタガワサンテックカンパニー)の電装課だったんです。

配属先を聞いたときは落胆しつつも、『まずは3年、Kitagawaで頑張ってみよう』と覚悟し、心を切り替えた倉本さん。
倉本さんがKitagawaに期待していたことは?

『世界のKitagawa』といわれている社内システムにはどんなすごい設備が実装されているのか楽しみにしていました。

でも実際の現場を見ると、長年使われ続けてきたものが大半でした。
必ずしも最新の機材が必要ではなく、各業務に適したシステムが揃っていれば、良いものづくりは可能なのだと得心しました。

Kitagawaでは現在、入社直後、およそ1年間の研修期間が設けられている。
働く上でのマナーはもちろん、3つの事業部門を経験したのち、個人に合わせた研修が行われる。
倉本さんが新入社員だった頃、研修中に何か印象に残った出来事はあるのだろうか?

機械図面を書くことに苦労したのを覚えています。
まずは、実線・鎖線の意味、三角法、公差という言葉も初めて聞きますから、意味を調べるところから始めました。
小さな部品の図面を書くための質問を先輩にしながら10時間近くかけて完成させたんです。
上司から『先輩たちなら同じ図面を30分でできるぞ』と聞いたときは『ものづくりのプロ』の力量に、私も同じレベルに成長できるか、不安と期待が一緒に湧き上がってきたのを今でも覚えています。

ものづくりの着眼点
上司の姿勢から学び、受け継ぐ

入社から13年目、電装の知識と経験を重ねた倉本さんは、1年間開発課に配属。
ビルマンの自動運転システムを開発したのち、再び電装課でエンジニアとしてのキャリアを積み重ねてきた。

電装課に関わり続けて17年経ちましたが、電装課でも開発課でも、基本的に上司も部下も分け隔てなく課員の意見に耳を傾けてくれる雰囲気が良いですね。

お客様が使う状況を想定し、改善点の意見があれば実際に検証・実験をしてみたり、知識のある先輩が改訂案の問題を指摘したりして、定例的ではなく自然発生的にディスカッションが行われます。

倉本さんは周囲の物事を鋭く見極めることができます。
いわゆる”難しい人”に対しても率先してやり取りを行うことができて、その分け隔てない姿勢から課員にも親しまれ、頼りにされています。


課員から頼られ、一人ひとりの意見が議論される。
課員の意見を聞き、まとめ役も担う倉本さんは、若いころの担当上司から仕事への向き合い方を学んだという。

電気設計を行う上で、”電装のあるべき姿”をきちんと持っている上司に、とても刺激を受けました。
製品に関する疑問点や迷いがあったときは、必ず製品の「コンセプト」に立ち返って議論し、判断をしていくことを学びました。

私自身、若いころは電装がどうあるべきかなんて考えたこともなかったですし、任された仕事をやりきるだけでした。
でも、その上司の仕事に対する一本筋の通った考えは、自分が迷ったとき「あの上司だったらどう言うだろう。どれを選ぶだろう」と考える上での指針になっています。

機械の能力が幾通りもある中で、会社が目指し、かつお客様の要望も叶える「コンセプト」にピタリとはまるものを作ることが第一義だ。
機械設計・制御設計・製造など複数の工程を経て、多くの人が関わる仕事である。
迷っていてはチームはバラバラになり、ものづくりは完成しないということだ。

倉本さんは、上司の姿勢を見て学び、将来ビジョンの具現化への糧にしている。

働き方は人それぞれだけど
勤務時間が充実していると思える職場にしたい

私の今の目標は、会社に来るのが楽しみで、充実した人生だと思えるようなチームを作ることです。
勤務時間が「充実した時間」になれば、例えば日曜日の夜に『明日も仕事、頑張るか』って前向き思考になると思うんです。
正直自分にとっても壮大な目標ですが、まずは私のチームだけでも必ずやり遂げたいと思っています。

これまで丁寧に話をしてくれた倉本さんが、熱く、目を輝かせて話してくれた。

仕事にやりがいを感じれば、やる気やアイディアが湧いて出てくる。
結果としてチームとしてもまとまりが出て、良いものづくりに繋がる好循環になるのではと期待を込めて倉本さんは話す。

私のチームは9人いるのですが、一人ひとりが希望する働き方は『定時で帰って自分の時間がほしい』、『残業しても良いから仕事をやり遂げたい』、『キャリアアップを目指したい』など様々です。
価値観は人それぞれ違うのも当然だし、全員が同じ働き方じゃなくてもいいと私は考えています。

いい仕事をする上で良好な人間関係も欠かせない。
その点においても倉本さんはチームと正面から向き合おうとしている。
具体的には何を実践されているのだろうか?

一番気にかけていることは、チームメンバーの精神面ですね。
課員一人ひとりと必ず毎日少しずつでも会話をしていれば、声のトーンで相手のコンディションが判ります。
仕事の進捗や問題がないか、課員が自分自身を追い込んだりしていないかなど、コミュニケーションを通して把握しています。余計な肩の力を抜いてほしいですね。その方が、仕事も人生も、面白みは増すと思うんです。

人も製品も「ここまでできればゴール」ということではなく、いくらでも進化・成長する伸び代は続いている。それが人生で大事にしていることですと、倉本さんは迷いなく話す。

どんな仕事でも周りのサポートのおかげでやり遂げられた
自分もチームのために出来ることを

倉本さんがここまでチームのために行動をしようと思ったきっかけや原動力は何でしょうか?

私の仕事は、新商品の開発をはじめ、お客様からの要望に対する引合いや、建設現場でKitagawa製品を使われているお客様からのトラブル対応まで幅広く行っています。
電装課に入ってお客様のトラブル対応を始めて10年ほど経った頃、お客様の困りごとも把握できて一人で対応・解決できるようになった時は、自分も成長したなと思っていました。

仕事への自信がつき始めた頃、トラブル対応が複数重なった。
倉本さんは、本社と各工場、お客様の現地や東京や大阪の支店へと移動が多く、体力的にも精神的にも追い詰められ、出勤するだけでしんどい時期があったという。

それでもトラブル対応が無事解決できたことを考えると、私一人で全て対応したわけじゃない。仲間のサポートがあったからこそ出来たことなんだって気が付いたんです。

現場の方たちに「すごく助かっています」「倉本さん、何かあればまたお願いしますね」って言われるのが本当に嬉しいことだと笑顔で話す倉本さん。


課のことをとても考えていて、他部署からも信頼が厚い人です。
ただ、問合せの電話対応を1日中している日もあって、心配になることもあります。

大変な時でも、仲間の助けがあったから乗り越えられた。
だから私も、誰かが負担を感じているなら、仲間が支えればいいと思う。
仕事が原因で体調を崩すことはさせたくないですからね。

周囲の仕事や人間関係に気を配るには精神的にもエネルギーが必要だ。
それでも、「気にかけている」ことがチームに伝わるだけでも相手の心の不安は軽くなるだろう。

入社当初は、希望と違う部署で働くことになった時は残念に思っていましたが、「今までの仕事を頑張ってきて、後悔なんてない」と胸を張って言えます。
頑張っていれば、自分の中に次のやりたいことや目標が見えてくるものなんですね。

入社して自分の望み通りに行かないこともあるだろう。大きな壁が立ちはだかることもあるだろう。
それでも仲間と課題を乗り越え、今はチームの環境づくりに貢献しようとしている。
これまでのKitagawa社員達も、ものづくりを通してチームと共に成長してきた。

仲間を思い、チームを思う倉本さんなら、きっとキタガワを更なる成長へと繋げていくだろう。